献上博多織

鎌倉時代、博多に宋から伝わったと言われる博多織は、慶長年間に黒田長政によって徳川幕府への献上品として選ばれ、毎年帯地と生絹が献上されていることにより「献上博多織」と称されることになった。  これを「定格献上」と呼び、藩からの需要のみを生産させ、その風格と希少価値を維持してきた。

従来は、高機により手織りをで生産されてきたが、明治時代にフランスからジャガード織り機が導入され、図柄をパンチカードに読み込み、織り糸の上下動を自動化した大量生産が可能となり、一挙に生産が拡大され大正時代にその最盛期を迎え現在に至っている。

 

「献上博多織」の特徴は、練糸を先染めした経糸を密に配列して極限まで張り、緯糸は片撚り糸を数本引き揃えた太糸を強く打ちこむ事により、生地に厚みが出てシャキッとした独特の風合いが得られ、帯を結ぶときに独特の「絹鳴り」がするようになる。  また、「献上博多織」のもう一つの特徴は、真言宗の法器である独鈷と華皿を図案化した紋様に加え縞柄を配列した独特なそのデザインにある。

 

今回の取材では、原田織物株式会社の原田昌行社長にご協力いただき、その生産工程を撮影する事ができたもので、厚く御礼申し上げる次第であります。